新聞掲載記事

2004年1月7日  「働く。」第一部 サバイバル工場(6)

パートから社員へ。「やりがいあるけど責任も重く」

「じゃ始めようか」。天草池田電機=天草郡松島町=の談話室。定時の就業が終わった十人ほどの女性社員が、菓子を食べながら話し込み始めた。話題は品質向上のための改善策。各職場で展開されているQCサークル活動だ。
 QCは「品質管理」の意。社内に十八グループあり、グループごとに職場の改善策を話し合い、生産性向上に結び付ける。年数回の成果発表が義務付けられている。
 この日、グループの中には、第二製造部の村枝真理さん(36)=姫戸町=の姿もあった。入社八年目。職種は「セクレタリー」。生産数や不良品の廃棄数などの文書ファイルを整理・管理するのが仕事だ。
 関西の大手スーパーで九年間働き、家族の病気を機に九年前にUターンした。三姉妹の長女。今の会社の前身「オムロン天草」に入社後は、生産現場も経験。「先輩の技を盗むのに懸命でした」。姉妹全員が同社で働いていた時期もある。
 前の会社は清算され、新会社が設立された。以前はパート従業員だったが、新会社では全員が契約社員という雇用形態に変わった。一年更新とはいえ、正社員の位置付けだ。
 オムロン時代は、同じ生産現場に正社員とパート従業員が混在していたため、パート仲間には「同じ仕事なのに賃金格差がある」との不満もあった。「定時に終わる仕事はどこか気楽な部分もあった。正社員になった今はやりがいもあるけど、責任も重くなった」
 定時の終業後に始まるQCサークル活動は現場の社員全員の”ノルマ”になった。「小さな子どもがいるため遅くまで残れない女性で、会社を辞めた人もいる。私もQCに取り組むのは、最初は大変だった。でも成果が出たらうれしくなる。小さな積み重ねでも、会社に貢献してるんだなと実感できる」
 独身。「仕事の楽しさは、人とのコミュニケーションにある。結婚して子どもを産んでも、ずっと仕事は続けたい」。同僚たちと話し合いながら、そう思う。

「熊本日日新聞」

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