新聞掲載記事

2004年1月19日 「働く。」第一部 サバイバル工場(16)

任された地元の協力工場。「お荷物になるわけには…」

天草郡松島町の教良木地区。天草上島の内陸部にあり、山里の風景が広がる集落の中にポツンと天草池田電機=松島町=の協力工場がある。
 松島化成教良木工場。二年前から生産現場を統括するのは、天草池田電機から出向した工場長代理の渡辺憲司さん(48)=同町=だ。「この工場がみんなの生活の基盤。なくすわけにはいかない」
 天草池田電機には、ほかにも電子制御部品(リレー)の素材加工などを扱う協力工場が天草に数社ある。サバイバル工場、天草池田電機の浮沈が、地域全体の将来も担う。
 松島化成教良木工場はかつて、天草池田電機の前身・オムロン天草の分工場だった。六年前に売却され、リレーに組み込むコイル生産を担うようになった。現在はオムロングループからの発注が天草池田電機を通じて同工場に回る仕組みだ。
 コイル生産も海外シフトが進んでおり、同工場もまたグローバル化の渦中にある。「協力工場でも、お荷物になるわけにはういかない」。生産性と品質向上のため、この工場でも果てしなき挑戦が続いている。
 渡辺さんが赴任して数カ月後、主力機種が海外に移管され、売り上げが激減した。新機種の生産を取り込んだが、最盛期の水準までは持ち直せないでいる。「下請けの中小企業が生き延びる難しさを痛感した。結局は利益がすべて。そうでなければ生き残れない」
 工場全体の運営も任され、さらに実績の数字に追われるようになった。固定費圧縮のため、天草池田電機と同様に大幅な賃下げにも踏み切った。
 品質が生命線だ。一度信頼を失えば、回復するには長い時間がかかる。「信頼を築くのは難しいが、壊すのは簡単。一人でできる。大きなダムも小さな穴から崩壊する」と例える。
 教良木地区は、渡辺さん自身が生まれ育った地でもある。「古里の工場を守りたい」。厳しい状況は変わらないが、危機感をバネに品質は上がってきた。少しずつ手応えは感じている。

「熊本日日新聞」

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