新聞掲載記事

2004年1月11日 「働く。」第一部 サバイバル工場(10)

「飯の種をまこう」。生き残りかけ新商品開発

昨年末、天草池田電機=天草郡松島町=の一室に九人のダイン所が顔を寄せ合っていた。会議のテーマは、同社初のオリジナル商品「るすばん君」の改良だ。
 「製品の特徴は大きなブザーが鳴ると同時に、ロック機能でサッシが開かなくなること」。開発プロジェクト課長の松本勇さん(36)=松島町=が説明を始めた。この日は外観デザインの改良のため、東京から工業デザイナーも招かれていた。
 「飯の種をまこう」―。同社の前身、オムロン天草が清算の事態となり、雇用確保のため設立された新会社は生き残りをかけて「新しい仕事への挑戦」を掲げた。プロジェクトチームが組織され、新商品開発の可能性を探った。松本さんはリーダーの一人になった。
 「仕事を自ら開拓しなければ生き残れない。独自の新商品開発へ、一丸となってアイディアを出したい」。チーム発足時、松本さんが決意を表明してから一年以上が過ぎた。会議を繰り返し、試行錯誤を重ねた。最終的に社外から紹介されたアイディアが新商品として結実した。それが「るすばん君」だった。
 地元高校を卒業後、熊本市内の専門学校でコンピュータープログラミングを学んだ。オムロン天草では、製造現場で電子制御部品(リレー)の生産性と品質に神経をとがらす日々だった。
 「オムロン時代の仕事は受注生産。どうしても受け身だった」
 新商品開発に携わるようになって、新たな仕事を切り開いていく充実感を覚えた。同時に、公的支援への申請手続きや類似商品への研究など膨大な仕事も待っていた。「ひとつの商品を生み出す難しさを痛感した。ただこの仕事には夢がある。どこまでも市場が広がっていく可能性がある」。消費者からの反響が励みになる。
 窓の外に、夕暮れが迫る。熱気を帯びた商品会議には予定時間を超えて続いた。「女性にアピールしたい」「もっと使いやすく」「安心感を強調したい」。この日、新しい商品イメージがぼんやりと浮かび上がった。

「熊本日日新聞」

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