新聞掲載記事

2004年1月15日 「働く。」第一部 サバイバル工場(13)

仕事と家庭の両立…悩み、支え合う女性たち

「今日は相談!」。天草池田電機=天草郡松島町=の電子制御部品(リレー)生産ラインの女性リーダー、小幡香代子さん(40)=同町=が、ある同僚から携帯メールを受け取ったのは昨年十月の終わりだった。
 「仕事を辞めようと思って…。まだ体調も良かったり悪かったり。仕事を休んだりすれば、みんなに迷惑かかるけんね。すごく悩んだけど…」
 同僚の女性は三十代。妊娠後に体調を崩し、一カ月以上欠勤していた。小幡さんは急いで返信した。「あなたは今、産むのが一番の仕事でしょ。仕事のことは体調がよくなってから考えて」
 同僚からの相談メールは、その後も続いた。そして十二月、「新年からがんばりまーす」というメールが届いたとき、ようやく安心した。
 小幡さんが同僚の女性たちを励ますのも、同じように子育てで悩んだ経験があるからだ。
 二人の子どもを育てている。夫の実家に同居。幼い子供達を保育園に預けながら働いてきた。数年前、小学校低学年に成長した長男が訴えてきた。「お母さんは残業ばかり。もっと家にいて」。仕事を辞めようかと一瞬考えたが、「仕事に頑張っている母親を分かってほしかった」。自分の気持ちを正直に伝えると、息子は理解してくれた。「ぼくもがんばるけん」の言葉が今も耳に残っている。
 年明け、相談メールを送ってきた同僚が職場に復帰した。「彼女は仕事に厳しく、頼りになる存在。無理しないで仕事を続けてほしい」。出産、子育ての悩みを一人で抱え込まないよう、職場では応援していきたい。
 仕事と家庭の両立に悩むたびに、家族や同僚たちの支えに助けられてきた。でも出産を機に、職場を離れる女性も少なくない。「子どもを産み育てるのも、女性の大事な仕事。でも子どもの成長を励みにして、仕事をがんばれる部分もある」
 「お母さん、残業がんばってね」「お母さん、肩もんであげようか」―。そんな言葉をかけてくれる子どもの成長が、何よりうれしい。

「熊本日日新聞」

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